いろいろあって、イケムルネスに帰ってきて二日がたった

結局あるまは深夜4時ごろに目が覚め、その後眠れなくなっていた
やっぱり心臓がバクバクなって眠れないのである

(・・・どうしちゃったんだろう・・・私、今までこんな事なかったのに・・・
もしかして私・・・ルートさんのことを・・・)

そう思ったとたん、顔がボッと赤くなる
あわてて頭の上に浮かんだ妄想をババババッとかき消す
妄想をかき消しても顔が真っ赤になる
さすがにこれはまずい、そう思ってあるまは静かに外に出た

外は夜風が涼しく、星が空一杯に輝いていた

ふぅ、とルートと昼間話していた場所に座り、ちょっとだけ服のボタンを緩めた
すこし胸元の青アザが見えてしまっているがあるまは周りに誰も居なかったため気にしなかった

(私・・・どうすればいいんだろう・・・素直になったほうがいいのかしら・・・?
でも・・・きっと素直になったら今までどおりの関係は続かないかも・・・
ああ、もう私のバカバカバカ、なんでネガティブになってるのよ・・・!)

いろいろとあるまは一人で星を見ながら考えていた、そのうち東の空が明るくなり、太陽が昇ってきた

「もう朝になっちゃった・・・今日は私が朝ごはん作ろうかしら」

そういってあるまは台所へ向かった

しばらくして、鍋と玉じゃくしを打ち鳴らす音で皆が飛び起きた
一応これがご飯の合図でもある、あるまも最初驚かされたため、同じ方法を取った
ドアがバン!と開き寝癖を直さないままルートが飛び出してきた

「なんだ!?もう飯なのか!?・・・ってあるま?君が今日作ったのか・・・?」

驚いた様子だった、そりゃあルートと出会うまであるまは自炊してたわけで、料理もお手の物だろうというのは予想はできていた
だが、テーブルに並んでたのはそれこそ、スラムの人が口にできないような高級料理だったのだ

「うん、私が作ったのよ、本を見ながら、ね」

ルートの後ろから続々起きてきた、やっぱり皆お腹が空いてたらしい

「さ、食べましょ、出来立てだから熱いし気をつけてね」

それぞれイスに座り料理を一口食べてみた
・・・うまい! この場に居たあるま以外の全員がそう感じた
あるまは何一つ特別な事はしていないという

「私がしたのは、本に書いてあった通りの材料を本に書いてあった通りの分量で調理しただけ
本当のおいしさは、気持ち次第なのよ」

特においしい、と感じたのはルートだった
それに加えあるまの一言で勘付いた

「あるま・・・後でちょっといいか?」

ルートがあるまに聞く、もちろん、とあるまも答えた

(おんやぁ・・・?ルートってこの手のことに疎いんじゃなかったっけ・・・)

アルテミスはちょっと疑問に思ったが今はこのおいしい料理を食べたかった、皆パクパク食べてあっという間に完食だ

皆が食べ終わり、それぞれ赴くまま外に行った

ユウ達は散歩に、アルテミスとノースとサウスは買出しに行った


「あのさ・・・、あるま、今君は俺の事をどう思ってるんだ?」

あるまは自分の心境にズバッと切り込むルートの一言にドキッとした

「え・・・?いきなり何を・・・?」

「いや、寝てる時も、背中合わせで眠った時も、なにか心地いい波動みたいなものを君から感じたんだが・・・?
それで好意を抱いてるんじゃないかという結論に至った。何処か間違っているところはあるか・・・?」

ルートがちょっと疑問そうに聞いた、疎いと思われがちのルートの異性に対する興味はそれなりにあったようだ

「・・・私、ずっと過去を話せる、全てを打ち明けられる人を探していたの
人間じゃなくても、分かり合える人を探していたの、
それがルートさん、あなただったの、今なら言えるわ、大好きよ、ルートさん」

そういってあるまが真正面から抱きつく

「え!?おわっ!?ちょっ!?あるま!?」

突然の告白と突然の出来事にルートは頭が混乱していた
ルートはあるまを支え切れずにそのまま押し倒される形で倒れこむ

ドサッ

芝生だったからよかったものの、家の中でこんな状況になったら意識を失いかねない
しばらくして、ルートは落ち着きを取り戻した

「あのさ・・・あるま、俺の一族には結婚という風習の変わりに、契約という風習があるんだ
その契約をすると、人間ではなくなるんだ、俺や姉さん、ノースやサウスみたいに特殊な能力が発現する
その代わり、契約した最初の夜、試練が降りかかるんだ、身体の構造がわずかながら一気に変わるんだ
その激痛に耐えられない契約者は・・・死ぬ、それでも・・・契約するのか・・・?」

ルートの胸板に顔を当てていたあるまが顔を起こして言った

「言ったよね・・・?大好きって、その気持ちは変わらないわ
たとえ、耐え切れなくて命を落としても、ね」

ルートはあるまの髪に手を乗せ言った

「お前も・・・バカだな・・・」

そういってあるまにキスをした

長いとも短いとも言えないその瞬間、ルートとあるまを中心に魔法陣が広がる

「・・・これで契約完了だ・・・、俺はいつでも誰かを受け入れられるようにしていた
本来契約にはかなりの手数を踏むのだが、そのいくつかの手数を封印し、重要な事のみを呪として俺自身にかけていたんだ」

「・・・・・・私、告白することで今までの関係が壊れるんじゃないかって思ってたの
でも、壊れなかった、だから私は、あなたと一緒なら何でも乗り越えられる気がするわ」

そう言うと、今度はあるまがルートにキスをした


その日の夜、ルートが予告したとおり、あるまの体中に激痛が走った
細胞レベルで変異するため、想像を絶する痛みを味わう事となった
また、その際裸で居なければならい、痛みでかきむしって服をビリビリに破くのを防ぐためだ
その夜、ルートは静かに見守っていた
一族の掟で試練を受けている契約者にルート達が触れることはできないのだ

「あああああああっ!!!!」

痛みであるまは絶叫する、だが、防音性が極めて高いルート達の家では、部屋の外に音が漏れることはなかった

日が昇る頃、あるまが寝ていたベッドは汗で物凄く湿っていた
あるまが気がついてまず驚いたのは、今まで受けた傷の青アザがきれいに消えていたことだった

「お、目が覚めたか、ほれ、着替えだ、ついでにシャワーも浴びてくるといい」

そういってルートはあるまに新しい服とタオルを渡した
シャワールームのかごに服とタオルを入れたあるまはシャワーを浴び始めた

今度は逆に、ルートが猛烈な眠気に襲われた
一晩中、あるまの様子に気を配っていたためである
ルートが“ドライ”というと汗でグッショリ濡れてたはずのベッドがまるで新品のようになった
恐らく一族の誰でも使える乾燥系の魔法だろう
そのままルートはベッドへ倒れこんだ

もちろん、あるまがルートと契約した、と言うことはアルテミスやノース、サウスも知っていた
一族の誰かが契約したというのを感知する事ができるのである


ユウとリキの期日まで後2日・・・

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キャラ出展:ユウ リキ 「元素空間著 ATTRIBUTE」

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