あるまを一晩中気遣っていたルートは気疲れしてそのまま眠ってしまった
とうのあるまは寝汗がひどかったのでルートに勧められるがままシャワーを浴びている

みんなそれぞれ起きて適当に朝飯を食べ、ルートだけ眠っていた

ユウとリキはまたゲートの前にいた

「あれ・・・?昨日とゲートの形変わってるね、なぜだろう」

「きっとルートさんの精神状態で形が変わるんじゃない?」

今、ユウとリキが見ているゲートは以前のハッチ型ではなく
どこか近未来的な雰囲気を感じさせる正六角形のゲートだった
正三角形が6つ集まり、なにか特殊な事をしない限り開きそうもなかった

「後今日を含めて二日かぁ・・・長いようで短い一週間だったなぁ」

空を見てユウが言う

「この世界って格差こそあるものの、一応平和なのよね・・・
でも私たちアトリビュートが目指す平和とは違う形みたい」

リキが町のほうを向いて言った

確かにこのイケムルネス(ルートやあるま達が生を受けた世界)は
格差社会という問題はあるものの、平和ではあるのだ
だが、ルートは格差社会を解消した世界を作ろうとしていた
この事実を踏まえ、ユウは一つの仮説を立てた

“彼らは人間ではなく、おそらく天界に飛んだ事を考えると
天使の末裔、多分フェレスト・ウォルスと呼ばれている人物が大本なのだろう
俺たちを救った時、彼は三対の翼を背中に生やして現れた
それが何よりの証拠になるんじゃないか?”・・・と
ゲートの前で考えていてもどうしようもない、とユウとリキは意見が一致し
そこら辺を適当に散策することにした


そのころ、あるまは衣類の洗濯をしていた、洗濯機の説明書と洗剤の注意書きを読みつつ
適宜な分量で洗剤を入れる、その後スイッチを入れ、額の汗を拭う
このときはさすがに長いポニーテールが邪魔になるのでお団子状にまとめているようだ

「洗濯はこれで終わり・・・洗い終わったら干さなきゃね〜
さて、次は何をしようかしら・・・?」

「もうすることはほとんどないわよー、ゆっくりしてていいんだからね?」

そういってアルテミスが空から降りてきた、翼は着地した瞬間に見えなくなった
特殊な能力なのだろう、とあるまは思った

「そう?まぁ確かにほとんどやることは終わった感じね、洗い終わるまでだけど」

「ね、あるまはどうしてルートがアラカレデムにつれてきたと思う?
結局アラカレデムは崩壊しちゃったけど」

アルテミスが問い掛けた

「私を連れてきた理由って、契約の為・・・じゃないよね、何か別の目的があるんでしたっけ」

あるまが自分の覚えてる限りの事を述べた

アルテミスが足元に擦り寄ってきた猫をなでながら言う

「ルートは、格差社会のない世界を作ろうとしているの、アラカレデムはそれの雛形だったわけ
予想外な力の干渉で結局崩壊を起こしちゃったけどね」

にゃー、と猫が鳴く、あるまもしゃがんで猫をなでた

「そうなんだ・・・、じゃあ私と契約したのは・・・?」

「多分ルートはあるまの気持ちに応えただけじゃないかしら、私もびっくりしてるのよ
私より先に契約者を見つけちゃうなんてね・・・」

「え?アルテミスさんはまだ見つけてないんですか・・・?」

びっくりした様子でアルテミスにあるまが聞いた

「そんなに驚かないでよ、私って家事がてんでダメなのよ、なんどか契約間際まで持ち込んだこともあったけど
結局フラれちゃったわ、まぁ、契約自体あなたとルートみたいな方法で契約するほうが、一番いいしね
だから私も待つことにしたの、私が精一杯相手の気持ちに応えられる人を・・・ね」

「洗濯が終わったみたいね、干すくらいなら私にもできるから
あるまちゃんは家の中でゆっくりしててね」

アルテミスがそういって、あるまを家に入るよう勧めた

「・・・さーて、私もがんばらなきゃ、うん」

そういってアルテミスは洗濯機から洗濯物をかごに移し、干し始めた

夕方になって、辺りはすっかり夕焼けに染まっていた

疲れが取れたのか、ルートが目覚めた

「あら、起きたの?今日はまだ寝ててよかったのに」

ベッドの脇にはあるまがいた、猫を抱っこしていた
猫は気持ちよさそうな顔であるまの腕の中でのどをごろごろごろごろと鳴らしていた

「ふ・・・外によく猫が遊びに来ていたがあるまに抱っこさせるほど懐いたか・・・
動物はやっぱりすぐわかるんだな、誰が優しい人間なのか、誰が悪い人間なのかを」

ルートの口元がちょっとだけ笑った、あるまにもわかる程度にちょっとだけ
ルートも猫をなでようと、左手を伸ばした

猫は目を開けてルートの手のにおいをふんふん嗅いだ後、頭を擦り付けてきた

あるまはルートの猫をなでる左手を見て言った

「指輪とかないの・・・?あったら欲しいけど・・・」

「ん、指輪はフェリスディア・ウォルスの者には不必要な物だよ
契約したことによって、あるまも名前こそ変わらないけど、フェリスディア・ウォルスの一員だよ
それと、話すのを忘れていたが契約者は契約時に特殊能力が備わるんだ
一つは一族共通能力、主に身体強化能力と飛行能力がそれにあたる
もう一つは固体別の特殊能力、俺は色濃く受け継いだせいで複数の能力を持っているが
基本は何かに特化した能力になるはずだ、姉さんの場合は確か弓術特化で
弓をほぼ100%ターゲットに命中させれるらしい」

「なるほどね・・・私にはどんな能力が備わったのかしら・・・」

「普段その猫はここまで懐かないんだが、俺の仮定ではおそらく
“すべてを味方につけるほどの能力”、じゃないかな」

「それってある意味最強じゃない?
どんな敵でも仲間にできるんだったらゲームだとバランス崩壊するわよ?」

「あくまで仮定、確証はないから、おそらく動物に好かれる程度かもしれないし、
本当にすべてを味方につけるかもしれない、そういうことだ」

ルートとあるまが話している間にほかのみんなは晩飯を食べて、とっくに寝ていた、一部を除いて

「みんな寝静まったか・・・俺たちも寝よう」

そういってルートはベッドを降りて、あるまのベッドの隣に新しいベッドを出現させた

「これも俺の能力の一つ、物質転送能力だ
転送して持ってきたい物の位置を思い浮かべ、手を向ければ出現させれる」

あるまはちょっと頬を膨らませた、ちょっとだけ不満があるようだ

「ダブルベッドにはできないの・・・?」

え?とルートが聞く

「形は違えど夫婦なんでしょ?
私たち、だったらダブルベッドでも別に問題ないんじゃないの?」

それもそうだな、といってベッドを二つともどこかへ消して、ダブルベッドを出現させた

「今度のも俺の能力で対象の二つをいったん別空間に飛ばして、合成した
まぁ、この程度のランクのことなら何でもできると思ってくれ。さ、寝ようか」

そういってルートは右側からベッドに入る
そうね、とあるまも左側からベッドに入る
そして二人とも、静かに寝息を立てて眠った


そのころ、ユウとリキは星空輝く夜空を屋根から見ていた

「私達、結局ボーッと過ごしてるだけなんだよね・・・どうする?これから私たちは」

リキがユウに問う

「僕たちは変わらないよ、ずっとこのまま僕達はすごせればいいかな、僕たちの世界で」

ユウはリキの質問にそう答えた

「僕達も部屋に戻って寝よう、明日はいよいよ、ゲートが開く日だよ」

そういって、ユウとリキもそれぞれのベッドに入り、眠りについた


誰もが、それぞれの思いを胸に、生き続けている
それを誰もが実感していた

明日、いよいよユウとリキの世界と、イケムルネスをつなぐゲートが開く

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キャラ出展:ユウ リキ 「元素空間著 ATTRIBUTE」

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